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財務モデリング入門(独学用リンク集)

  • はじめに
  • 1. 前提知識(会計編)
  • 2. 前提知識(財務/M&A編)
  • 3. 財務モデリング
    • 3-1: 作法を学ぶ
    • 3-2: 作業/完成イメージを持つ
    • 3-3: 自分でモデルを組んでみる
  • 結び
    • その他参考

 

はじめに

先日、財務モデリングについて何気なくTweetしたところ、思わぬ規模の反応を頂いた。

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日本企業の新興アジア戦略と発展段階 - コロナ禍という外圧により加速する変化

 

はじめに

今後、日本経済はどう変わるか。

「失われた30年」日本のマクロ環境は完全に下火の一途を辿ってきた。そのような時代的状況において、2020年3月初旬にはCovid-19という感染症が本格的に全世界で流行し、物理的な移動がほぼ全面的にストップした。2020年8月末現在、国際移動は依然、原則不可という状況にあり、これは人類の歴史を見ても前例のない事態である。

 

コロナ禍を契機とし産業レベルでの変容が加速する。デジタル化、労働生産性、etc. いずれの論点も以前から飽きるほど識者に指摘されてきた日本経済の課題である。コロナはただの引き金に過ぎない。ただ、依然と同じ時間軸で産業論を語る様では座して死を待つに等しい。

 

この点、日本企業の各業界トップ数社に限れば、彼らはいよいよ本気で変革に着手したようだ。未曾有の外部環境を前に待ったなしと、腹を括らざるを得なくなったからである。先日発表された、日本ペイントのウットラム・グループ入りも一つの象徴的な事例であろう。今後、度肝を抜く様な改革が起こる。経営レベルで語られているキーワードは、国内を見れば事業ポートフォリオの再編・整理、業界内部の統廃合、国外を見れば迅速な市場参入又は事業拡大を企図したM&A等を含む、広義の「リストラクチャリング」である。

 

私見として、日本経済の停滞の本質的原因は、産業面の課題と組織・人材育成を含む社会・文化的な課題に二分できると考えている。そして、この2つは当然に複合的な議論であり、片方だけを取り上げて語る事はできない。だが、議論の複雑化をさける為、ここでは主として産業面について取り上げたい。考察に際し、「日本企業の新興アジア戦略と3つの発展段階」という概念を補助線として用いる事とする。

 

なお、以下において言及する着眼点の多くを 甲南大学経営学部の安積 敏政教授『激動するアジア経営戦略(2009)』から拝借した事をお断りしておく。10年以上前に出版された書籍であるが、現在もなお古びない普遍的な課題及び論点について事例も交え言及されておられ、是非一読を推薦したい。

 

進出国の変化 - ASEANから中国、インド、そして再びASEANへ -

日本企業の海外進出熱をアジアという地勢について観察すれば、70年代のASEAN(第一波)、80年代の中国、90年代のインド、2000年以降のチャイナ・プラス・ワン、2010年以降から現在のASEAN(第二波)という大まかな整理ができる。推移の背景では政治的・経済的環境があり、それぞれ1967年のASEAN創設、1978年の中国の改革開放政策、1997年のアジア通貨危機、2000年代に入り加速したFTA自由貿易協定)、EPA経済連携協定)等にも下支えされてきた。

2010年以降は人口6.6億人を抱える東南アジア市場に対する注目が再燃してきた。域内の名目GDP・貿易総額(輸出+輸入)はともに3兆USD程度であり、GDPは日本(約5兆USD)の6割程度だが、貿易総額は日本(約1.5兆USD)の2倍ほどの市場である。

 

とりわけ近年急成長を遂げているベトナム、次いでインドネシア、この2か国に対する関心が強い。ベトナムはコロナ関連の対応も政府主導でうまく対処し、IT系人材の育成、外資誘致にも注力しており今後もFDIは増加のモメンタムを維持すると思われる。インドネシアは回復には時間がかかりそうだが、それでも世界最大の東南アジア最大の2.5億人を抱えているポテンシャルは大きく、VCマネーを引きつける。コロナ禍を経てもVC最大手セコイア・キャピタルはカフェチェーン大手Kopi Kenenganに1億USD、OTA大手Travelokaはバリエーションを前回ラウンドから下げつつも2億USDを越える資金を調達している。

また、タイマレーシアの2か国は既に中所得国(一人当たりのGDPで5,000ドル以上)となり成長速度は前2か国に比べ緩やかであるが、その分安定的な消費と成熟したサプライチェーンモノカルチャーを発展させた独自の産業・技術集積(アグリ、天然ゴム等)も保有しており、依然として投資先として有望市場である。VCが入る程市場スケールの余地はないが、PEはよく動いている。既に進出済の日系企業であれば、更なる商圏拡大を狙った同業買収のM&A等が有力な打ち手となるだろう。ローカル企業としても、市場全体の成長に従ってオーガニックな拡大を図れるフェーズではなくなった事から、周辺国への進出を含む新規事業の拡大、或いは日系との協業による成長戦略の提案に関心を示すケースが多い。

 

第二次世界大戦

一連の変化を後押ししてきたのは、いずれも製造業であった。第二次世界大戦後の日本企業の海外輸出の先陣を切ったのは、朝鮮特需に後押しされた繊維(土嚢、軍服、テント等)・鉄鋼(鋼管、針金、鉄条網)業界だった。その後、高度経済成長の期間、ナショナル・ブランド各社が国際競争力をつけ、周辺の大手Tier 1サプライヤーと共に海外進出を加速する。これらは日本企業のFDI拡大の第一段階として整理する事ができ、自動車業界(トヨタ等)及びエレクトロニクス(ソニー等)の二大産業により牽引されたものである。特に、80年代は自動車・カラーテレビ等の耐久財、半導体コンデンサ等の電子部品が海外市場を席巻した。経営機能的に見れば、これらは輸出ベースのマーケティング・販売機能強化、といった狙いが強かった。

 

プラザ合意インパク

しかし、プラザ合意(1985年)以降の急速な円高(以降、ドル円は直前の240円台から1988年には120台まで下落)を経て、日系製造業の海外進出は、日本からの生産シフトによる、直接投資ベースの生産拠点の立地、生産、資材調達機能へと変化を余儀なくされた。

製造業の海外進出の第二波として、製造業各社、とりわけ食品、日用品、化粧品、医薬品等の海外進出が活性化したのもこの時期である。これらの企業はいずれも商材の性質上、内需志向の強い産業である為、海外進出の狙いとしてはローカル市場開拓を長期的な狙いとしつつも、短期的には安価な人件コストを確保するという意図が主眼であった。

 

近年の変化、コロナ禍を経て

既に巷言されている事柄ばかりである為詳述不要かと思うが、近年の日本経済を取り巻く環境変化として、下記の3つが主たるものとして挙げられるだろう。

  1. 日本国内需の縮小
  2. 国際競争力の低下
  3. デジタル・トランスフォーメーション

「1. 内需縮小」GDP成長は近年1%前後に停滞、慢性のデフレ、更に少子高齢化という人口動態を踏まえれれば議論の余地はないであろう。

「2. 国際競争力の低下」、これも既に起きていた事であり、二大産業の一であったエレクトロニクス業界各社は完全に新興国(韓国、台湾)メーカーの後塵を拝した。ソニーが金融、或いは業界内でのサプライヤー的立場に舵を切り、金融分野を稼ぎ頭になった。シャープは鴻海の軍門に下り、ジャパンディスプレイは見るも無残な状況である。

「すりあわせ=インテグラル型」のモノづくりから、「組立型=モジュール型」に産業の在り方が変わる時、オールジャパンとして広くサプライチェーンに「ケーレツ」を組織し品質を高める、という闘い方は通用しなくなる。

次に自動車業界で全く同じ事が起こるだろう。キーワードは「EV」である。ヨーロッパ各国、更にはインド、中国まで、各国行政は優遇制度による後押しを含め、域内での普及促進に着手している。一方、自動車産業一本足打法に近い現在の日本政府に、そこまでドラスティックな動きを取る事を期待できないだろう。まさに国家レベルでの「イノベーションのジレンマである。

この点、旧式のガソリン自動車の部品点数は約30,000点だが、電気自動車では1,500点と1/20に急減する。開発・設計、生産は限りなくモジュール化され、旧来型のディーラー網を中心とする販売・アフターフォロー体制も必要ない。家電量販店で購入し、ECで各種アクセサリー、或いは車両自体も購入できるといった具合に。産業のパラダイムが変わるのだ。

 「3. デジタル・トランスフォーメーション」についてはもはやバズワードと化した感もあるが、消費サイドではオンラインを起点或いは主要なパスとする顧客行動の変容、生産サイドではデジタル化による生産性、競争力強化へのインパクトを捉えようとするものであろう。この変遷は以前から緩やかに、しかし確実に起きていた事であるが、折しもコロナ禍による一連の社会動静が、企業活動及び消費活動をデジタルなものにシフトする外圧として機能した。これらのシフトは一過性のものではありえず、大部分の変化は不可逆的なものとして定着するであろう。

 

日本企業各社が取るべき打ち手
  1. マーケット・イン型への転換
  2. ノウハウ活用×ローカライズによる市場開拓
  3. アジア域内リンケージの強化

 

日本国内需が中長期的に低迷していくマクロ環境を前提にすれば、打ち手は国内シェアを伸ばす、或いは海外市場への進出/事業拡大、この2つしかない。この点、コロナ禍を経て世界経済が不安定な最中、直近で海外市場への進出/事業拡大という動きがとれるのは、マーケット・リーダーと目される様な各業界トップ数社、或いは明確に経営アジェンダとして掲げるオーナー系に限られるのではないか。

 

「1. マーケット・イン型への転換」について。

主として、既に海外進出を果たしている企業のテーマとなるだろう。日系製造業は総じて、輸出型モデルからの脱却を図る必要がある。ジャパン・クオリティというワードに思考停止しがちなメーカーだが、それは単なるスペックの議論であり、ユーザー・消費者が何を求めているのかを起点に事業を行うべきである。これは至極当たり前の話なのだが、どれだけ繰り返しても言いすぎだという事はない。そもそも神学論争を離れて、冷静に設備投資、国際認証取得、財務的には利益額・率等の外形的要素をみた場合、新興国企業の方が日系製造業を上回っている事は少なくない。話が少し脱線するが、IT分野等、新規性が高い領域については社会実装がスピーディーな分、ASEAN企業が日系にノウハウ・技術提供をしているという事例も複数確認できるのである。

 

トヨタ、或いはユニクロといった直接の顧客接点を持つ製造業はこの当り当然に自覚的であろう。一方で、BtoB系の製造業はサプライヤー根性が抜けず、この当りの危機意識がまだヌルい。そもそもの経緯が大手メーカーにおんぶに抱っこ式、受動的な海外進出であるケースが多い為である。

 

海外展開が早く、既に各国に拠点を持つ商社各社についても言える話だが、それでは日系企業のサークルの中でしか仕事が作れない。海外進出、と言っても座標が日本から海外に変わっただけであり、当然スケールとして頭打ちになる。しかし、これが日本企業の大多数の海外事業の現状であり、今後、真に海外市場を獲りに行くならば早急に意識を変える必要がある。

具体としては、営業、R&Dを含む経営機能の現地(或いは地域拠点)への委譲・集約により、スピーディーかつ現地ニーズに適合した商品開発、日本中心の高コスト体質の改革、現地人材の育成を行う事が、主たる取組となるだろう。

 

その際、従前のタイムマシン型、つまり「先進国のソリューションを新興国に展開する」という発想に縛られず、むしろ新興国市場をイノベーションの場として捉える視点を持つべきである。少子(超)高齢化社会、或いは先進国であるが故に制約されるイノベーションというのもある。

新興国がゆえ、国民所得及び市場の急成長、変化に柔軟な若年層の存在、社会インフラの未整備、先進的テクノロジーオープンソース化を背景に、日本では実現しない/普及が進まない領域でもイノベーションが進んでいる。

 

ここで興味深いデータがある。Internet World Stas.comによれば、日本のインターネット普及率・Facebook利用率(いずれも対全人口)はそれぞれ90%・20%程度である。一方、タイ、ベトナムインドネシア等の新興国を見ればインターネット普及率・Facebook利用率はそれぞれ約60~80%・50~70%であり、これら3か国のFacebookユーザー数は日本より遥かに多いのである。

前述したデジタル・トランスフォーメーションを消費サイドから見た場合、デジタル・ネイティブの若者中心の新興国と、世界一の超高齢化社会である日本の消費行動、そこに対するマーケティング手法の濃淡が異なるのは当たり前である。要するに、KOLマーケティングを老人にやっても仕方ないのであり、この分野で中国に先を越されるのも無理はない。問題は全世界的にみて日本という国の人口動態がいびつ過ぎるという事であり、従ってこういった領域で遅れをとる構造にある事は自覚すべきであろう。

 

「2. ノウハウ活用×ローカライズによる市場開拓」について。

これは海外進出済企業がローカル市場を開拓を目指す時だけではなく、非製造業(小売業、卸売業、倉庫・陸運等のロジスティクス業、損保、外食、教育、観光)或いは内需型産業(鉄道業、都市開発業、湾港・空港関連業、不動産業等)にも当てはまる。これらの企業は製造業に比して進出検討が遅かった。しかし、或る意味では一足早く成熟し、かつ競争過多の日本という市場で生き残ってきた内需の産業であるがゆえの今後起こる変化への先見、或いは磨き上げてきたオペレーション・エクセレンスというものがあり、これらのノウハウを武器に十分新興国市場を攻める事は可能である。しかし内需型産業の必然として、入念なローカライズ無しに成功は期待できない。この点、自社単独で各国市場に関する知見を蓄積していく事は無用な時間を費消するのみならず、実効性に乏しい。従ってM&Aあるいは合弁等によるローカル優良企業との協業が手段として欠かせないだろう。

 

 「3. アジア域内リンケージの強化について。

日中貿易戦争、加えてコロナ禍により中国のカントリー・リスクが顕在化する中、アジア地域内・域外とのリンケージを意識した、全体最適を図る生産拠点の抜本的な再編・統合、拠点間の分業・連携を含む、グローバルでの一体的な戦略機能の構築が急務である。

この点、先に述べた非製造業、内需型産業はこの大局と呼応する動きを取る事に事業機会が存在すると思われる。個人的には、ロジスティクス、倉庫、産業不動産等が興味深いテーマとして最近注視している。

 

結び - 免責事項 - 

以上、自分の整理の為つらつらと書きなぐったため、乱文ご容赦頂きたい。アクセス数が多ければ、もう少し体裁や内容を整える所存。

 

参考図書・推薦図書

 

 

 

12大事件でよむ現代金融入門

12大事件でよむ現代金融入門

  • 作者:倉都 康行
  • 発売日: 2014/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

人を見極める - 採用に関する私的覚書 -

 

企業における採用活動の重要性

採用についてまじめに取り組んでいる企業は驚く程少ない。

経営の三大要素として「ヒト・モノ・カネ」とよく言われる。モノ(商品開発、設備投資 etc.)とカネ(ファイナンス全般)については各社内部規定を整備し、参照すべき書物も多く存在する。しかし、こと「ヒト」という話題について、他の2要素と同程度に精緻かつ意思決定に至る仕組みに結実できている企業は殆どない。しかし、採用とは、企業が人材紹介会社に払う35%前後のフィーと当該候補者の年俸を足し合わせただけでも単年で1,000万円は下らないという意味で、広義の投資活動であるといえる。翌年以降も発生する人件費、退職金、或いは教育コストを考えれば億単位のコストであり、特に解雇のハードルが高い日本の様な国でローパフォーマーを見極められずに採用してしまう事はリスクも高い。

 

組織体制については内部統制の文脈で上場企業でそれなりに議論されてきた。だが、それはどちらかと言えば制度趣旨からしリスクヘッジという意味合いが強い。

そもそもここで問うているのは一連の手続き自体ではなく、それが事業戦略との連関においてどの程度綻びなく、強固な企業文化、或いはビジョン(企業理念)、ミッション(企業体としての志命)、バリュー(価値観、行動規範)として貫かれているかという事だ。事業戦略としてのHR部門の役割は「採用」「育成」「評価」の3つの大きく分かれるが、「採用」は手続き自体は類型的な型が用意されており、従って比較対照する事で当該企業の「ヒト」に対する取組の質を図る事ができる。育成も評価もまともに制度がない企業はあれど、採用しない企業というものは存在しないからだ。

 

どういった人材を採用すべきか、という問に対する明快な解を即答できないのは、戦略・戦略の解像度が粗いからである。多くの企業にとっての採用はオペレーショナルな次元(言葉を選ばずに言えば、組織内における代替可能な人員の新陳代謝)に留まっているが、本来は戦略的な視座から出発し、その上でオペレーショナルな位相に降りていくべきだ。その場合、人材要件の定義というものが具体的なアウトプットになるだろう。しかし、ボックス・ティッキング式のシートを用意したところで、実態を見れば所詮はヤマカンに外形的な体裁を施しただけに過ぎない。そもそも、言及されている要件・基準自体が一本筋の通っていないトンチンカンなものであれば、評点を与えても何の意味もない。

 

見極めのフレームワーク - 「考える、伝える、巻込む、やりきる」

人材要件を考える時自分は下記の点を意識しているが、これは非常に汎用性が高いフレームワークであると考えている。面接を行う場合はこれまでの経歴、具体的取組(エピソード)、当人の果たした役割(成果への寄与度)、そして将来目指す姿を順に尋ね、その過程でこれら4点を往復的に行き来し、最終的に当該ジョブで求められる領域に達しているかを判断する。

 

  1. 考える力:業務遂行に必要となる職業的知見・能力、実績、専門的資格
  2. 伝える力:プレゼンテーションスキル、文章力、資料作成、語学力
  3. 巻込む力:人間的魅力、他者への配慮
  4. やりきる力:志、問題解決への執着

 

1及び2は想定される具体的な職務内容により自ずと定義できる。この時、短期(Day1~)、中長期(2, 3年後~)の2つの観点から、要求水準に達しているか、或いは達する見込みはあるかを見極める

 

3及び4は当人の素養という性格が強い。本質的な矯正は難しい領域の為、とりわけ育成という観点からは特に慎重な見極めが必要である。書面審査を通し、実際に面接している時点で一定の足切りラインに達しているという前提に立てば、おおまかに1→4の順に見極めを行い、最後の数分を「4. やりきる力」を見極める事に時間を使うべきだ。

 

この時、答えのない問を投げかけ論客として対峙し、彼/彼女がどこまで粘り強く考え、伝えようとする姿勢を崩さないかを見る。その時、本人の生き様の全てが現れるように思う。敢えて緊迫した対峙の状況を演出する事で、(人間的魅力、他者への配慮=巻込む力)も試される。

もっとも、立場を利用した圧迫と受け取られない様、当該議題に対して互いに対等な立場である事を予め強調し、言葉選びや態度には細心の注意を払う、というのが欠くべからず前提である。

 

 

 

「自信を持つ」とは何か? - “confidence”と“conviction”の相違 -

メンタルコントロールの重要性 

心身共に過酷な環境下に自分を置いていると、時に自分を見失う。自己否定と低パフォーマンスの悪循環に一度入ると、そこから抜け出るのは難しい。

 

高い視座に自分を置き続ける事には痛みが伴う。成長意欲が高く、また責任感が強い人ほど自責思考が強い。現状と目指す姿との差分に自信喪失し、責任感の裏返しとして、全てを抱え込んでしまうのである。しかし、それでスランプに陥る様では本末転倒であろう。

 

パフォーマンスを最大化する為、時には都合良く物差しを変えて自己暗示をかける事も必要である。

 

confidenceとconvictionの相違

自信、という日本語に相当する英語として、“confidence”と“conviction”という言葉が思い浮かぶ。私はいわゆる純ドメ、帰国子女でも留学経験もないのでニュアンスを正しく汲み取れていない可能性はあるが、両者の違いを感覚的に述べると、“confidence”が内在的な要素(過去の実績、努力、評価等)であるのに対し、“conviction”は不確実な未来に属する事柄に対する確信というニュアンスがあると感じる。

 

そして、“confidence”と同じくらい“conviction”を持つ事もまた重要であると思っている。というのも、人は過去ではなく未来に向かって生きているからであり、また将来に属する事柄である限り(濃淡の議論はあれど)不確実性を完全に斥ける余地はないのである。

 

「自信をなくした」という時にその人が失っているのは、“confidence”よりもむしろ“conviction”である事が多い。なぜなら、自責的傾向がある人は(先に述べた様に)高い視座に自分を置き、成長意欲が高く、また責任感が強いからこそ、その差分に打ちひしがれているのだ。視座が低く、成長意欲も責任感もない人はそもそも失う自信すらない。

 

しかし、繰り返しになるが、将来に属する事柄から不確実性を完全に斥ける余地はなく、過去の成功体験、或いは経験則によって予見できる未来などたかが知れている。この点、普段から試行錯誤を行っているという前提に立てば、まずは“conviction”、不確実な未来に属する事柄に対する確信をまずは回復し、保持するよう努めるべきだと思うのである。

 

中田英寿と『キャプテン翼』- ビジョンを持つという事 -

キャプテン翼』というマンガがある。静岡のサッカー少年である大空翼(おおぞら・つばさ)がプロとして世界に羽ばたき、世界のビッグクラブでプレーするまでに成長する、という筋書きのストーリーだ。

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喧嘩、或いは交渉の作法 - いかに正しく“闘う”か

  • 序 - 人を動かす、ということ
  • 本題 - 【私的】喧嘩、或いは交渉の作法10か条
    • 1. 「目的」を明確にする
    • 2. 相手の立場で考える
    • 3. (超)簡潔に論点を宣言する
    • 4. 論理と情動を区別する
    • 5. 正論で勝負する
    • 6. 主語を意識的に選別/捨象する
    • 7. 礼儀を失さない
    • 8. 機を逃さず主張する
    • 9. 生殺与奪権を抑える
    • 10. 決裂を辞さない
  • 推薦図書 

序 - 人を動かす、ということ

人を動かす、という事は何かにつけ骨が折れる。人は皆、固有の自我を有し従って異なる利害関係を持つ。同じ組織であってもそれは一様ではなく、無数の思惑が複雑に絡まり合い錯綜する。その煩わしさ故、人との交わりに背を向けて厭世の仙人の様に生きる事は容易い。

だが、何か社会や組織を変革する大きな事を成し遂げようとするならば、そこから安易に逃げ出す事はできない。人を巻き込まずに成し遂げられる事には、限界があるからだ。

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"スキル"についての私的コペルニクス的転回: 交渉、迫力、ストリート・スマート

仕事を初めてからと言うもの、"スキル"についての私的コペルニクス的転回とでも言うべき学びがいくつかあった。

 

根底にあるのは、仕事を与えられる側(Employee)から仕事を生み出す側(Enterpreneur)の視座への移行であったと思う。それは同時に、一般に巷言されるような基礎スキル(スライドライティング、エクセル、英語 etc.)、そして業務スキル(専門分野で求められる職能)をレーダーチャート的に拡張していくだけの時期と決別する契機でもあった。

 

どう仕事を作るか、虚飾を取っ払えば「いかにカネを生むか」。この時、"スキル"に対する考え方を抜本的に変えなければならない。役割定義が変われば、呼応して役割達成に必要な能力定義も(当然に)変わるからである。

 

交渉、迫力、ストリート・スマートと書いたが、いずれも自分と全く別の利害関係を持つカウンターパートの存在を念頭に置いている。

 

仕事を生み出す側(Enterpreneur)であるとは(比喩的にいうなら)、定石を覚え詰将棋を解く事に留まらず、相手がいる実際の対局で「勝つ」事が求められるのである。

 

「今から3年以内に、手帳一冊だけを手に持って企業を訪問し、仕事を獲ってこれる様な人間になれ。」 

 

ある人が、品川の某ホテルで私に言い放った言葉だ。当時の自分には余りに抽象度が高く、言外の趣旨を測りかねた。

 

しかし今は、彼は仕事をする上で求められる本質的な素養を端的に言っていたのだと、身に沁みて判る。

 

思考の型を持つ (5) - 結論、総論、各論

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ビジネスの世界では「結論ファースト」を徹底すべきである。

その上で、結論に対する理由付け/根拠の提示のために、総論/各論に言及すべきであり、説明を求められない状況での無用な前置き或いは各論への深入りは不要である。

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思考の型を持つ (4) - 論点と仮説

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はじめに|論点思考、仮説思考はなぜ重要なのか

論点思考と仮説思考は、問題解決の局面で徹底すべき方法論である。なぜそれが重要視されるかというと、それが有限な時間と限られた情報に基づき、敵(= 競合他社)に先んじて急所を撃つ、という戦略的思考の要諦であるからに他ならない。

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