コンサルタントとアドバイザーの違い

自分の理解では、(伝統的な)コンサルティングとは、経営という文脈における意思決定に関する助言を生業とするものであり、アドバイザリーとは、特定の取引に関する助言を生業とするものである。役務の提供対象がそれぞれコンサルティングでは「経営」、アドバイザリーでは「取引」であるという点は、両者の特質を隔てる大きな要素である。

 

ここで、投資銀行(あるいはM&Aブティック)に所属しM&A関連の助言業務を提供する人たちは“アドバイザー”と呼ばれるのが慣例である。

 

コンサルタントがクライアント・ワークであるのに対し、アドバイザーにはクライアントに加え、「利害の対立する」「第三者」が存在するというのは決定的に大きな違いである。従って、「折衝・交渉」に関する素養が専門的・技術的な知見に加えて大きな意味を持ち、かつ主要な機能の一つに含まれる。"confrontation"=相手方との対峙に耐えうる資質の有無は、計数的教養に加えて当該職能への適正を判断するための極めて重要な観点の一つであり、またこの仕事が大変ハードな一方で(余り良い喩えではないが)麻薬的な醍醐味のある所以であろう。

 

一方で、「資本市場を考える会」で服部先生がM&A助言業務について述べておられた様にアドバイザーは通常、取引のリスクを最小化し価格等の取引条件を最適化する事のみにフォーカスする。従って、その前提としての経営判断自体への参謀的機能は(少なくとも役務スコープとして)期待されないのは物足りないところといえるかも知れない。

 

しかし、その職能に関わらず信頼に値するプロフェッショナルと目されていればクライアントもその意見に耳を傾けるものであるし(一流企業の経営者が真に耳を傾ける、という意味で"本物の"コンサルタントは日本に数名しかいない、という趣旨の発言が波頭氏・富山氏の対談録にもあった)、また経営判断とは何事も可能性の議論であり、あくまで取引としての最適解を導出するというのが本来求められている価値であろう。

 

月並みな結論となるが、結局は個々の職業人の属人的な力量と矜持の問題でしかないのだろう。