ステップ関数と複線的な仕掛け

しばしば成長曲線は右肩上がりの1次関数的なイメージで捉えられている。俯瞰で見るとたしかにそうかも知れないが、寄りで見るとむしろステップ関数の形をしているのではないかと思う。

 

ステップ関数といっているのは、要するに一定の閾値を超えることではじめて次の次元に移行できるということであり、Inputに対してOutputが比例して伸びていくような漸進的な推移を辿ることはないということである。

 

事業成長をステップ関数的に捉えるということはInputに対するOutputの伸長との関係には常にラグがあることを所与とするということである。物事の見方としてこれは実際、経験則に即している。

 

派生して、複線的に仕掛けるということを頭に入れておかなければならない。先に述べたようにひとつの仕掛けが一定の閾値に達し、次のステップに以降する前には常にラグがあり、また往々にして外的要因に左右される。

 

加えて、成長曲線は一定の段階まで進むと傾斜が緩やかになる。そうすると、単線的な仕掛けのみによっていると(ほぼ必然的に)特定の事象に起因するボトルネックによって手詰まりに陥るか、そうでなくてもいずれ頭打ちを迎える。その時になってから対処法を考えるようでは遅きに失する。

 

結果からプロセスを逆算するならば、要するに期待値とリスクを確率論的に管理するということである。多分に抽象的な概念の域を出ないが、組織であれ個人であれ成長曲線を考える際に、それなりに有用な見方ではないかと思う。